治らない人、治る人
トリガーポイントを不活性化して、痛みやこりなどのつらい症状を軽減するには、いくつかの方法がありますが、それらの治療を始める前に、治りにくくなっている要因(永続化要因)を改善する必要があります。それを行っていないと、せっかく治療を行っても、治療に反応しにくいし、治療効果が長続きしないからです。
故ケネディ大統領の主治医だったトラベル博士とサイモンズ博士が書かれた「筋膜痛と機能障害ートリガーポイント・マニュアル」は4巻77章の大作ですが、彼らが最も重要視しているのは、第4章の「永続化要因」です。
私たちの周囲にも、「腰が痛い!」とつらそうにしていたのに、数日もすると何ともなかったかのように、ケロッと治る人がいる一方で何年も何十年も痛みで困っている方がいます。
これは治りにくくなる要因を多く持っているか、そうでないかの違いだと彼らは指摘しています。
臨床的重要性
永続化要因を矯正することが重要であることは、歩道の穴につまづいて下腿の骨を折った男についての逸話によって示される。
その男は治療を受けて下腿の骨は治癒したが、2ヶ月後同じ穴につまづいて再び下腿を骨折した。
誰もその穴を埋めていなかった。
もしわれわれが「穴を埋める」事なくすなわち、多くの永続化要因を矯正することなく筋膜痛症候群を治療すると 患者は治療と再発の果てしない悪循環を運命づけられる。
何ヶ月も、または何年間にもわたって筋膜痛に苦しんだ患者に対して、われわれはほとんどの時間を穴を埋める事に費やす必要があると考えている。
第4章(永続化要因)は本書の中で単一の章としては、最も重要であり、筋膜痛症候群の治療において最もなおざりにされてきた部分を取り扱っている
「特定の筋膜治療の効果はどの期間持続するか?」という質問に対する答えは、どのような永続化要因が未解決のまま残っているのかによって大きく左右される。
(後略)
『Myofascial pain and Dysfunction The Trigger Point Manualより』
目次
- 1.日本の痛み医療は遅れている!?
- 1-1 現代医学は痛みの原因のとらえ方を間違えています。
- 1-2 今までの「痛み常識」を疑ってみる
- 1-3 画像診断は役に立たない
- 1-4 構造的アプローチから機能的アプローチへ