施術に先だって、患者さんとの信頼関係を構築することがとても大切です。
心と体は一つで、心の動きは必ず体に何らかの反応を起こし、体の状態は必ず心の在りように変化をもたらします。
患者さんが安心し、リラックスした状態で施術を受ける方が、不安で緊張した状態で受ける方がはるかに効果がでやすいのは想像できると思います。
1)心の力:プラシーボ・ノーシーボ
プラシーボ(偽薬)効果
薬理学的には全く効果が無いはずの偽薬でも、約35%前後の人に改善が見られます。これをプラシーボ効果とかプラセボ効果と呼びます。
「この薬は○○に効果があります」と言われると、効果がないはずなのに症状の改善が見られるのです。
なぜこのような事が起きるのかは分かっていませんが、「暗示」や「条件付け」などが考えられています。
ノーシーボ効果
薬理学的には全く効果がない偽薬を服用して、「気分が悪くなる」「痛みが出る」などの副反応が生じる事があり、これをノーシーボ効果と言います。
これらの事から患者さんとの信頼関係は施術効果に大きな影響を与える事が分かります。
2)心構えと傾聴
「心構え」
信頼関係の構築で大切なのは「心構え」です。
真の信頼を得るには、言葉だけでなく、心から患者さんを尊敬し、価値感の違いを認め、苦痛を理解しようとする心構えを醸成しなければなりません。
「言葉は嘘をつくが、態度は嘘をつけない」というのが心理学の基本的な考え方で、患者さんは施術者の言葉では無く、態度から来るメッセージを受け取ります。
傾聴
次に大切なのは「傾聴」です。
痛みを抱えて困っておられる患者さんは、これまでの症状や治療の経過などを詳しく話すことがより良い治療に結びつくと考えられています。また、不安や憤り、焦燥感など伝えたい感情も沢山持っておられます。
それらを真摯な態度で施術者の価値判断を挟まずに耳を傾ける事で、患者さんの心が軽くなり、治療効果も上がりやすくなります。
人それぞれの価値感があり、自分の価値感を尊重して欲しいと思うように、患者さんそれぞれの価値感も尊重し、患者さんの話を聴くように心がけて下さい。
3)治療への動機付け(モチベーションを高める)
信頼関係の構築を図りながら、患者さんの治療へのモチベーションを高めて行きます。
慢性痛の患者さんはこれまでに様々な医療機関や治療院を訪れ、期待と失望を何回も味わって来られています。
「治りたい・・、でもダメかも・・」という諦めにも似た気持ちの方もおられます。
そこで、次のような説明を行って、治療へのモチベーションを高めます。
筋筋膜性疼痛症候群や分子栄養学の説明
これまで受けて来られた治療の内容をお聴きし、なぜ今までの治療が上手く行かなかったかのを筋筋膜性疼痛症候群などの視点から説明します。
また、分子栄養学の視点から栄養素の過不足によって痛みを治り難くなる可能性がある事、痛みを増強している可能性がある事、そして食生活の改善で痛みから解放される可能性がある事を伝えます。
これらの説明によって患者さんの治療へのモチベーションが高まり、その事が治癒への道と繋がります。