トリガーポイントとは?腰痛・肩こり・関節痛などの痛みの原因です。

トリガーポイント研究所

治療法について Ⅱ(治癒力阻害因子)

筋筋膜性疼痛症候群の概念をまとめたトラベル医師等は、下記のように、「治癒力阻害因子(永続化要因)」へのアプローチが大切で、長期に亘って苦しんでいる患者さんに対しては、まず治癒力を賦活させることが最も重要だとしています。
施術に先だって、我々施術家は「痛み」だけにとらわれること無く、患者さんの「全人的健康の獲得の視点」で患者さんの状態を把握する事によって、結果として痛みの改善という目的を達することが出来ると考えられて下さい。またその事によって患者さんの人生そのものに関わるようになり、その事は施術家にとって貢献感のあるもので、何よりの喜びとなります。

永続化要因を矯正することが重要であることは、歩道の穴につまづいて下腿の骨を折った男についての逸話によって示される。
その男は治療を受けて下腿の骨は治癒したが、2ヶ月後同じ穴につまづいて再び下腿を骨折した。誰もその穴を埋めていなかった。
もしわれわれが「穴を埋める」事なくすなわち、多くの永続化要因を矯正することなく筋膜痛症候群を治療すると 患者は治療と再発の果てしない悪循環を運命づけられる。 何ヶ月も、または何年間にもわたって筋膜痛に苦しんだ患者に対して、われわれはほとんどの時間を穴を埋める事に費やす必要があると考えている。 

Travell&Saimons

1)質的な栄養不足

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の概念をまとめたトラベル博士等は、痛みが治り難い人や、治療に反応しない人の半数以上はビタミン・ミネラル不足があるとしています。

現代日本は食べ物に溢れていますので、栄養は足りていると多くの人が思われていますが、実は量的には足りているのですが、質的には栄養不足の状態にあります。

特に体の原料の「タンパク質」と「脂質」の不足は、さまざまな病気の原因でもあり、痛みが治り難い大きな要因です。「タンパク質」は毎日体重1kgあたり1gの摂取が必要とされていますので、体重50kgの方ですと毎日50gを摂る必要があります。

卵、お肉、お魚などのタンパク源は、水分や他の成分も含まれていますので、摂取した量のおおよそ1/6~1/8がタンパク質の量となります。つまり50gのタンパク質を摂るには300g~400gのタンパク源を摂取しなければなりません。日常の食生活を振り返りますと、とてもそんな量は摂れていないことがお分かりになるでしょう。

問診の時に、日常の食生活を尋ね、タンパク質がどのくらい摂れているのか、糖質過多気味になっていないかをチェックし、食生活の見直しをアドバイスされて下さい。

栄養について参考になるサイト⇒

精神科医こてつ名誉院長のブログ
分かってほしい薬と栄養と心のこと

2)幼少時からの病歴・障害歴

幼少時から現在までの間に経験した病気や障害は、痛みの発生や慢性化に関与している事が多く、これらの把握は、診断や施術を行う際の重要な情報となります。

盲腸を手術されている方は、右肩や右足にトラブルがあるケースやよく見られますし、「足首の捻挫」「手や腕の骨折」などは、何十年経っていても現在の症状に影響しています。

例えば、臨床でよく見られますのは、足の障害と「偏頭痛」の関係です。
幼少時に足首の酷い捻挫や骨折などを経験されている方は、足首の周囲が異常に硬く、動きも悪くなっています。そのため、全身が代償を余儀なくされて、頚部や頭部が過緊張となり、偏頭痛を起こすというメカニズムです。

3)精神的健康

心と体は一体ですので、精神的健康は体に影響し、また体の状態は精神面に影響します。
苦手な人の前に行くと、顔や体がこわばるのを感じるのは日常的に経験します。

心身にとって非日常的なことはすべて負担となり、心身に何らかの影響を与えます。
人間関係のトラブルや失職するなどの社会的ストレスはもちろんのこと、結婚や新居への引っ越しなど、喜ばしいことでも、日常的に経験していないことは、心身はそれに新たな対応を求められますので負担となります。

また、各人が持つ価値感によっては、社会や人間関係に於ける適応が難しい場合があり、それが心身の負担となっている方もおられます。

施術を通して、患者さんの精神的健康を取り戻すサポートができれば、その方の全人的健康度はあがり、施術効果も大幅にアップします。

コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)


整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。