トリガーポイントとは?腰痛・肩こり・関節痛などの痛みの原因です。

トリガーポイント研究所

看護師の腰痛体験記(最終回)

職場復帰してから1ヶ月が経過した。復職してからの数日間は、歩くと、右臀部、右下肢の大腿横、脹ら脛が キリキリと痛み、帰宅すると、下腿はソックスのゴム跡がくっきりつくほど、硬くパンパンに浮腫んでいたが、日を追う毎に浮腫まなくなり、痛みは弱くなりながら、いつの間にか消失してしまった。気がつくと走っている事もある。
出勤準備だけで、他の事をする余裕が無かったのも最初のうちだけで、1週間が経った頃にはお弁当が作れるようになった。
睡眠時も、自由自在に寝返りをうち、仰臥位、腹臥位も平気でできる。
夜中に、しつこい嫌な痛みで覚醒する事も無く、うっかり寝返りをうって激痛に襲われる事は、今は無い。
動作への不安、恐怖がいつも頭を占めていたが、今は伸び伸びと振る舞っている。
ただし、歩行は、右傾きや前屈みであったり、いきなり普通にスタスタ歩けたりの繰り返し。
ほぼ三年間、痛みを庇うために身に付いた歩き方は、とても頑固なようだ。正しい歩き方を、イメージトレーニングし、脳の再学習を行ったり、トリガーポイント・エクササイズで、自分の身体に働きかけたりの時期が来ているのだと思う。普通に歩く…それが今後の目標で、それができるようになる予感もある。

☆ワンポイント解説

運動パターン障害は、痛み治療において重要な問題です。私たちは生育の過程で、個人個人が特徴的な運動パターンを獲得します。それが省エネで合理的なものであれば良いのですが、非効率的で筋に負担がかかるようなパターンを学習してしまうこともありますし、強い痛みが長期間続いたような場合、その痛みを緩和するような姿勢をパターン化してしまうことがあります。

このような運動パターン障害に対しては運動療法によって、より効率的、より合理的な動きを再学習する必要があります。

私は、6月中旬の退院後、整形外科の治療は内服薬(ノイロトロピン、ロキソニン)のみ、身体へのアプローチは、トリガーポイント治療を選択した。
結果、7月27日の6回目の治療後から、激痛は起こらなくなり、痛む箇所は限局され、その痛みは徐々に弱くなり、消失していった。
一進一退を繰り返しながらも徐々に改善していき、楽な時間が増えていった。苦痛から解放され始めると、先の楽しみを、あれこれと思い浮かべ、手帳に書きとめたりするようにもなった。
退院時は諦めてかけていた職場復帰も、トリガーポイント治療を始めて、3ヶ月を待たずして果たす事ができた。振り返ってみると、私は松葉杖をついて退院したのだった。その後、一本杖になったものの、その杖がいつ取れるやら予想もつかなかったし、杖無しの生活を想像することはできなかった。しかし、杖は取れ、支え無しで立って両手を使う事ができるようになった。

治療法の選択は、様々だと思うが、病院を受診した場合、医師の正しい診断がなされるかが決め手だ。患者は医師の言葉を信じる、そして医師の勧める治療を選択する。その結果、治癒すれば良いが、しなければ、いろんな病院や治療所をさまよい、長期に渡る痛みとの闘いが始まる。多額の治療費と膨大な時間を費やす道を歩む事になる。もちろん、精神的な苦痛や疲労も大きく加わる。痛みから解放されない限り、人生は大きく変わってしまう。

しかし、残念ながら 筋筋膜性疼痛症候群の理論に基づいた痛み医療を実践されている医師、治療者は、まだまだ少ない。痛みの原因に早く気づいて欲しい、痛みで困って泣いてる方達を助けてあげて欲しいと心から願う。

以上、私のほぼ三年に渡る腰痛、足の痛みを報告させて頂きました。私は長い間、あちらこちらと治療所を渡り歩き、希望と落胆を繰り返してきました。治療所巡りの話しは、笑われそうで恥ずかしく、人に話す事は無かったのですが、痛みで困ってる方の少しでもお役に立てればと、掲載させていただきました。

☆ワンポイント解説

この体験記を投稿して頂いたFさんは、これまでの私が出会ったMPS(筋筋膜性疼痛症候群)患者さんの中でも、5本の指に入るほどの重篤な症状でした。どの体勢でも激痛が出ていましたので、検査をするにも、施術をするにも制限があり困りました。

しかし、トラブルを起こして非常に過敏になっている部位の過敏性を低減し、動ける範囲を少しずつ広げて行くという地道な施術で、一歩一歩改善して行かれました。何も特別な治療をしたわけではなく、筋筋膜性疼痛症候群の視点に立って、痛みを起こしている大元を推定し、PIR(ポスト・アイソメトリック・リラクゼーション)、筋膜リリース、関節モビライゼーション、カウンターストレインなど、基本的な施術法でトラブルを解除して行っただけです。

Fさんの場合、医療機関を含めて30カ所で治療を受けられて来たのですが、筋筋膜性疼痛症候群の視点での治療を受ける事ができなかったために、一つの筋のトラブルが、次々と連鎖を起こし、毛糸がもつれてしまったような状態になっておられたのです。 そのもつれた糸をひとつひとつ丹念にほぐして行くだけで、身体の治癒力が痛みを改善して行きます。

 

コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)


整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。

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