治療家の方の多くが「痛みの改善よりしびれの改善の方が難しい」と思われているようです。
私自身、長年そう思って来ました。通常、痛みの方が原因が分かり易いからです。
一方、しびれはその原因が分かりづらいため、改善に導く方法が見つかりにくいのです。
しびれに神経系が関係していますが、その神経系に何が影響を与えているのかがはっきりしないため、しびれを改善に導く為に、神経に影響を与える「脊椎の動き」を回復させたり、神経の走行に沿って筋や筋膜を弛めるなどを行って来ました。確かにそれらの手技で一定の改善はみられるものの、「スッキリ改善!」という感じではありませんでした。
手や腕に限らず「しびれ」という症状を改善するには「腹圧」という視点が大切だと感じています。
ヒトの身体は姿勢の維持や運動を行う時に体内の「圧」を高めることで、それを効率的に実現しています。この「圧」を作るために身体の中に「腔」と呼ばれる分割された部屋があります。「胸腔」「腹腔」という言葉は聴かれた事があるかと思います。
この腔内の圧をコントロールしているのが「横隔膜」です。私たちは重い物を持つような時にお腹に息を吸い込んでグッと力を入れて圧を高めますが、それによって全身の圧が高まり重い物が持ち上がるようになります。
それと同様に横隔膜が硬くなると「圧」が高まって、血管や神経に圧が加わりその機能に影響が出始めるようになり、その事によって手や腕のしびれや痛みが生じるようになると考えています。
下図は横隔膜が全身に影響を与えているとする模式図です。

実際、横隔膜を弛めて行くと手や腕の張った感じが低減してきて、しびれや痛みが軽くなってきます。
横隔膜調整だけでは改善しないような場合は、頚部の調整と手や腕の皮膚の動きを改善するようにアプローチするとほとんどの痛みやしびれが改善します。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)

整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。