トリガーポイントとは?腰痛・肩こり・関節痛などの痛みの原因です。

トリガーポイント研究所

痛み医療の現状とセルフケアの重要性

1)痛み医療の現状

国民の愁訴

(厚生労働省HPより)

私たちの身体の悩みは、「咳が出る」「めまいがする」などいろいろありますが、厚労省の調査で毎回上位を占めるは「腰痛」「肩こり」「関節痛」です。

このトップ3は長い間変わっておらず、これらで困っている方々の人数もほとんど変わりがありません。

巷には整骨院、整体院、リラクゼーションとさまざま代替医療の施設が軒を並べていることから、現代医療が痛みに対処出来ていない面を表していると思います。

7割の患者が新たな治療を求めている

ムンディファーマ(株)は、慢性的な痛みを持つ患者の割合、およびその治療実態、患者意識を把握するために、20歳以上の男女を対象とした大規模な調査を実施しています。

その概要は次の通りです。

【目的】

・慢性的な痛みをもつ患者の割合
・治療実態/患者意識

【調査】

・20 歳以上の男女(1 次調査 41,597名、本調査 5,998 名) 

【結果】

・約 2,315 万人が慢性疼痛を有している。
・患者の痛みは、7 割が適切に緩和されていない。
・2004 年の調査から 6 年経た今も「痛み」が適切にコントロールされていない。
・患者は新たな治療を求めている。

(出典:ムンディファーマ(株))

上記の調査から、日本人の5人に1人が慢性疼痛で困っていること、そして新たな治療が求められていることが分かります。

2)なぜ慢性疼痛患者は減っていないのか?

多くの方が現代医療の効果を過大に評価されていますが、実は現在行われている「痛みに治療」には欠陥があり、そのために長年に亘って慢性的な痛みで困っている方が減っていないのです。

では、今の痛み医療にはどんな欠陥があるのでしょうか?

  • 痛みが心身のシステムの中で生じているという視点に欠けている。
  • 痛みを「椎間板ヘルニア」や「軟骨のすり減り」などの構造的破綻が原因と捉えている。
  • 栄養の過不足が、痛みが治り難い体質、再発しやすい体質を作るという視点。
  • 筋筋膜性疼痛症候群の視点を持っていない。
     ・関連痛の概念
     ・トリガーポイントが起こす不定愁訴
  • 内臓の機能低下が筋筋膜に与える影響の軽視
  • 関節機能障害が筋筋膜に与える影響の軽視

3)なせセルフケアが必要なのか

脳をリセット

長期に亘って痛みが続いたような場合、不快感を避けたり痛みをかばう姿勢をとり続けることによって、運動パターンに異常が出始め、それを脳が学習してしまうため、その事が痛みを長引かせる要因にもなります。
これは他力による施術では改善できず、セルフエクササイズで運動パターンをリセットさせる必要があります。

神経系をリセット

痛みが慢性化してしまった方は、神経系の可塑的変容が生じている場合があり、その状態から回復しリセットするには、自らが体を動かすことが必要です。

心をリセット

セルフケアに取り組むことで、これまで医師や治療家任せだった心が、自らが治療の主役となり能動的になります。これは人生の生き方へも影響し、治療効果があがりやすくなります。

4)運動による鎮痛効果

運動による鎮痛効果はさまざまな研究で示されています。
その一部をご紹介致します。

・運動しないよりは運動した方が有効(Slade・2006)
・回復期と慢性期には有効。急性期や長期的効果は不明。(各国ガイドライン)
・疼痛局所だけでなく広汎性に鎮痛効果(Tayior.2007)

・主体的な治療介入が治療成績を向上(国際疼痛学会)
・疼痛局所に限った運動ではなく、様々な身体活動が有効(Hurwitz・2005)
・運動の種類は有効性に関係がない。(各国ガイドライン)

・特殊な機能訓練でも外来訓練でも差はない。
・運動の量と動機付けを増やした方が有効(Slade・2006)
・低負荷運動は痛みの感受性を低下させる(岩佐・松原2014)

・動かす部位が多いほど有効(岩佐・松原2014)
・ただ歩くより「課題」をもって歩く方が有効(岩佐・松原2014)
・視覚やイメージを使うとより効果的(岩佐・松原2014)

・リズミックな運動は痛みと共に気分も改善(岩佐・松原2014)

5)ヨーガの心理的/身体的効果

【目的】
ヨーガ未経験者を対象に、継続的にヨーガを行うことによる、ストレス軽減効果及びその持続効果を調査する。

【方法】
 4週後、8週後、12週後に早朝尿の検査及び心理テストを行った。
 12週でヨーガを打ち切り、24週後の早朝に尿の検査及び心理テストを行った。

【結語】
ヨーガによって活力が増強したり、ネガティブな感情が改善したり、精神症状を軽減させたりする事が示唆された。
また不安や敵意の改善傾向も持続することが示唆された。

(九州大学 心療内科の研究)

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