トリガーポイントとは?腰痛・肩こり・関節痛などの痛みの原因です。

トリガーポイント研究所

メディカル・ヨガの構成

メディカル・ヨガは痛みと不定愁訴をセルフケアできるように考えて作られたものです。
次の三つの要素で構成しています。 

  • メディカル・ヨガは認知行動療法
  • ユニットとしての人体(局所にこだわらず全体を整える)
  • トリガーポイントと不定愁訴

1)メディカル・ヨガは認知行動療法

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私たちは環境の中で生きていますで、環境の状況に応じて行動も変化し、身体の生理や気分(心理・感情)も変化するという受動的な関係があります。

また、ある目的を持つことで環境に働きかけるという能動的な関係もあります。

つまり、「環境」「認知」「身体反応」「気分・感情」「行動」の五つは互いに影響し合っていますので、心身の症状で困っている方に対し、介入がしやすい「認知」や「行動」にアプローチすることで治療しようというのが、『認知行動療法』の基本的な考え方です。

メディカル・ヨガは、身体を動かして自ら痛みや不定愁訴を改善しようとする、主体的・能動的な生き方に「行動」を変容することでもあり、またそのことで「気分・感情」に変化が起きてきます。
メディカル・ヨガは、まさに『認知行動療法』そのものであると考えます。

精神状態と筋緊張

精神状態が筋緊張を変化させる事は私たちも日常的に経験しますが、精神状態は疼痛の悪化、慢性化にも大きく関わっています。

筋電図によって全身の主な筋肉の緊張状態を見ると下記の通りです。

正常な人神経質な人
2.958.68
2.755.57
0.582.10
0.531.36
心拍6970
呼吸1517
血圧99/70117/71

正常な人・神経質な人に拘わらず、腕や脚の筋の緊張に比べると、眉や舌の緊張が強い事が示されていますが、これは発話に関する筋群と、イメージをするときに使われる眼の筋群により強い緊張が常にあることを示しています。

従って、セルフケアを始める時や途中で、発話やイメージに関する筋群を意識的に弛めることで、緊張状態を緩和することができます。

2)ユニットとしての人体

「肩が凝る」「首が痛い」などがありますと、どうしても肩をほぐしたり、首を揉んだりしたくなりますが、身体は内外のトラブルや変化にユニットとして反応・対処していますので、局所にこだわらず、身体全体を整えて行くことが大切です。
特に、私たちの身体を支えている「姿勢筋」がトラブルの元である事が多いですので、まずは「姿勢筋」を整えるようにします。

①姿勢筋がトラブルの元

私たちの身体を動かしたり支えたりしてくれる筋肉には二つのタイプがあります。

 ・ミトコンドリアに富んで酸素を利用した持続的な収縮の可能な筋線維(赤筋)
 ・ミトコンドリアは比較的少なく瞬発的な収縮の可能な速筋線維(白筋)

赤筋は身体の深部にあり、私達の姿勢の維持に働いているため「姿勢筋」とも呼ばれます。
脊柱を支える主要な筋は、持久力とスタミナがある赤筋で構成されています。

(イラスト図出典:『Myofascial pain and Dysfunction The Trigger Point Manual』 より引用)


姿勢筋はあまり使わなかったり、障害を受けると、持久力を失いやすく、短縮したり緊張するようになり、また「筋紡錘(きんぼうすい)」という筋肉の長さを感じているセンサーも豊富で、障害による誤作動が生じやすい筋群です。

左図は姿勢筋の筋膜連鎖を表したイラストです。
この図を参考にされて、身体のどの辺りを姿勢筋が走っているのかを確認して、日常のエクササイズの役立てて下さい。

ミトコンドリアは私たちのエネルギーを産生してくれる主要な器官であり、タンパク質、鉄分、ビタミンB群の不足でその働きに障害が出ますので、姿勢筋のトラブルを防ぐには日常の食生活の見直しも大切です。

何をやっても痛みや不定愁訴が治りにくい方は、食生活の改善や適切な栄養素の摂取を学ばれて下さい。

栄養についてのお勧めのサイトをご紹介します。

精神科医こてつ名誉院長のブログ
分かってほしい薬と栄養と心のこと

②筋膜の連鎖

メディカル・ヨガの特徴のところでも述べましたが、私たちが身体を動かすときは一つの筋膜連鎖が働こうとするときに、他の筋膜連鎖はその動きをより効果的にする為に、また支持したり固定化したりする働きをしています。

このような視点を持つ事で身体のアンバランスがなぜ生じてくるのか、なぜ繰り返し痛みを起こす部位があるのかなどが分かりやすくなります。

下図は「アナトミートレイン」という筋膜連鎖の一つの考え方で、赤い線が筋膜の繋がりを 表しています。ここで留意して頂きたいことは、ある動きで一定の筋膜ラインだけが使われるわけではなく、どんな動きにもすべての筋膜が使われているということです。

私たちは複雑な動きをすることができますが、それを分解しますと「前後屈」「左右側屈」「左右回旋」の三つの動きを重ねていることがわかります。

従ってメディカル・ヨガで身体を整える際は、前後屈・左右側屈・左右回旋の三つの動きを 使って筋膜ラインを調整して行きます。

③内臓との関係

脊椎から出ている神経を筋肉と内臓は共有していますので、筋のトラブルと内臓機能は深く関係しています。
特に消化器系と下肢との関係は深く、膝痛、股関節痛などの障害の改善には内臓のケアが大切です。

メディカル・ヨガでは、テニスボールや麺棒、また椅子の背もたれなどを使って腹部をマッサージします。

椅子の背もたれは上半身の重みをかけるだけで圧をかけることができますので、身体によけいな力が入らず、効果的にお腹のマッサージができます。

④リンパ液の循環改善

筋膜は繋がりを持って身体の維持や動きに働くと共に、身体を縦・横に区切る事によって、「腔(コンパートメント)」を形成し、腔内の圧を調整することで、身体の維持や動きを助けています。

縦・横の筋膜(隔膜)が緊張すると、コンパートメント内の圧力が増したり、コンパートメント間の滑りが悪くなったり、機能障害が生じるようになると、身体の動きにブレーキがかかるようになり、その制限に逆らって動かざるを得ない事から負担がかかり、さらに筋膜(隔膜)の機能が低下します。

縦のコンパートメントの隙間を動脈、静脈、リンパ管、神経が走行していて、コンパートメントの機能障害によって、これら循環系の機能が低下して行きます。

「むくみ」「冷え」「疲れやすい」などは、リンパ液の循環が低下しているメッセージであることが多く、リンパ液の循環を改善するエクササイズを行って下さい。

エクササイズの後は、きつく感じていた靴がスカスカになるのを感じます。

コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)


整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。