トリガーポイントとは?腰痛・肩こり・関節痛などの痛みの原因です。

トリガーポイント研究所

心臓神経症とトリガーポイント

先日、夜間に「心臓の痛み」「異常な息苦しさ」「吐き気」で目が覚め、救急車を呼ぼうかと考えるほどの症状で、それ以来安静時でも心拍数が100を超え、きつさ、怠さで起き上がれなかったという方が来られました。

この方の症状を見られたご家族の方がネット情報を検索して、「心臓神経症」ではないかと言われたとの事です。

心臓神経症とは

心臓神経症は、胸の痛みや息苦しさ、動悸、頻脈などの心臓に関わる症状があるにもかかわらず、検査などでは器質的な異常が認められず、特定の身体疾患と診断できないもので、不安神経症やパニック障害の一つとされています。

心臓神経症とトリガーポイントとの関係

心臓神経症は心因性でストレスが影響していると言われ、抗うつ剤などの薬物治療、カウンセリングなどの心理療法が行われますが、ストレスがなくリラックスしている状態の時でも生じ、確立された治療法はなく、長年に亘ってつらい症状が続くようです。

一般に様々な検査を行って器質的な異常が見つからない場合は「心因性」とされて、筋・筋膜やトリガーポイントが起こす、疼痛を始めとした多岐に亘る症状が見落とされている事が多いと感じています。

チェコの医師カレル・ルイ氏は次のように述べています

医療従事者には残念な傾向があって、身体的な徴候がみられない時は心理的なものとして疼痛を無視しがちである。
しかしながら、大部分の医師は運動機能障害とその反射変化の検査に慣れておらず、彼らは単に疼痛の最も頻度の高い原因を認識できてないに過ぎない。

Karel Lewit

※Karel Lewit氏はチェコの神経内科医でリハビリテーションの専門医です。
 2014年に98歳で亡くなられましたが、チェコでは彼の功績を讃え記念財団が作られています。


心臓神経症に心因的な事が発症や症状の増幅に関与している事は考えられますが、根底には「運動機能障害」があるのではないかと推測しました。

そこで心臓に影響を与える「運動機能障害」として考えられますのは、「深前線」と呼ばれる姿勢筋群のトラブルです。

出典:アナトミー・トレイン―徒手運動療法のための筋筋膜経線                                 

上図の一番左のイラストを見て頂くと分かりますが、私たちの身体の深部で姿勢を維持している「深前線」は、横隔膜や心膜なども含んでいます。

この事から、深前線のトラブルが、患者さんが感じられた「胸の痛み」や「異常な息苦しさ」を引き起こした事が理解できますし、横隔膜や心膜に生じたトリガーポイントが、心臓脈の電気的リズムを乱し、心拍数を増大させた可能性も考えられます。

トリガーポイントが心拍数に影響を与えた可能性についての背景理論は、以前書きました「トリガーポイントと不定愁訴」を参照下さい。

さて、この方の施術前の心拍数は仰臥位の安静時で100前後ありました。

仰向けに寝て頂いた状態で、横隔膜の脚部から横隔膜を押圧してみますと、かなり過緊張状態となっている事が感じ取れました。

その過緊張部位を、5分ほど静かにゆっくりと押圧と筋膜リリースを行い、心拍数を確認しましたら70まで下がっていました。この事からも、トリガーポイントが心臓脈の電気的リズムを乱し、心拍数を増大させていたことが強く示唆されます。

心臓疾患とトリガーポイント

心臓疾患には実際に器質的な異常がある「虚血性心疾患」「不整脈」「心不全」などがありますが、心膜を含む姿勢筋群へのアプローチで、症状の緩和、改善に繋がるのではないかと考えています。

コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)


整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。

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