トリガーポイント研究所では、他力で行う「トリガーポイント治療」を、痛みの予防や緩和に繋がるセルフケアとして開発したエクササイズを「メディカル・ヨガ」と名付け、普及する活動を行っています。
今回は「二関節筋の機能を活用したエクササイズ」についてご紹介致します。
筋肉は収縮する動きしか出来ませんので、例えば、肘を曲げる運動をするときに、主導的役割を果たすのが、ちからこぶの筋肉「上腕二頭筋」で、その反対側にある「上腕三頭筋」は拮抗的役割を果たします。
逆に肘を伸ばす運動をするときには、「上腕三頭筋」が主導的な役割を果たし、「上腕二頭筋」が拮抗的役割を果たします。
肘を曲げるという一つの関節に働きかける場合、その動きを作る筋は、上記のように、「主動筋」と「拮抗筋」がはっきりと分かれます。
しかし二つの関節に介在する筋群は、その二つの関節の動きによって、主導的役割を果たしたり、拮抗的役割を果たしたりするようになります。
例えば、股関節と膝関節を同時に動かす時の「大腿直筋の役割」を見てみましょう。
(大腿直筋の役割)
股関節屈曲ー膝関節伸展⇒両関節において主導的役割
股関節伸展ー膝関節屈曲⇒両関節において拮抗的役割
股関節屈曲ー膝関節屈曲⇒主導的役割+拮抗的役割
股関節伸展ー膝関節伸展⇒拮抗的役割+主導的役割
股関節と膝関節に関わる筋群を整理しますと次のようになります。
筋 | 主動+主動 | 主動+拮抗 | 拮抗+主動 | 拮抗+拮抗 |
大腿二頭筋長頭 半腱様筋 半膜腰筋 | 股伸展+膝屈曲 | 股伸展+膝伸展 | 股屈曲+膝屈曲 | 股屈曲+膝伸展 |
大腿直筋 大腿筋膜張筋 | 股屈曲+膝伸展 | 股屈曲+膝屈曲 | 股伸展+膝伸展 | 股伸展+膝屈曲 |
縫工筋 | 股屈曲+膝屈曲 | 股屈曲+膝伸展 | 股伸展+膝屈曲 | 股伸展+膝伸展 |
要するに、股関節と膝関節の運動に関わる筋群にさまざまな役割を持たせる為には、次の四つの動きをエクササイズに取り入れると言う事です。
・股関節屈曲ー膝関節伸展
・股関節伸展ー膝関節屈曲
・股関節屈曲ー膝関節屈曲
・股関節伸展ー膝関節伸展
意識的に、上記のような動きをすることで、関節の動きに関わる筋群にさまざまな働きを果たさせることになり、過剰に使われたり、逆に抑制的に弱化してしまってアンバランスが生じる事を防ぐことに繋がると考えられます。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)
整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。