これまで社会的に認められていた説が覆される事を「パラダイムシフト」とか「コペルニクス的転回」などと呼ぶ事があります。
「コペルニクス的転回」と呼ばれるのは、パラダイムシフトの例として、古代から信じられてきた「天動説」が「地動説」に変わったという歴史がよく知られているからでしょう。
Wikipediaにもパラダイムシフト例としてこの事が挙げられています。
まず旧パラダイム(例:天動説)が支配的な時代は、多くの人(科学者)がその前提の下に問題解決(研究)を行い、一定の成果を上げるが、その前提では解決できない例外的な問題(惑星の動きがおかしい)が登場する。このような問題が累積すると、異端とされる考え方の中に問題解決のために有効なものが現れ、解決事例が増えていくことになる。そしてある時期に、新パラダイム(地動説)を拠り所にする人(科学者)の数が増えて、それを前提にした問題解決(研究)が多く行われるようになる。以後、以上の動きが繰り返される。
地動説は紀元前280年にアリスタルコスが科学的レベルで説明し、コペルニクスの登場まで1800年間はこの説が信じられていたようです。
コペルニクスが「天動説」を1510年に発表しましたが、その説はなかなか受け入れられる事無く、ケプラーの「ケプラーの法則」や1687年にニュートンが「自然哲学の数学的原理」を発表する頃までは定説では無かったようです。そうしますと天動説が発表されて定説となるまでに180年近くかかっている事になります。
では、これを「腰痛」にあてはめてみましょう。
腰痛の原因として「椎間板ヘルニア説」が世に現れ手術が始まったのが1932年と言われています。これを「腰痛の地動説」としましょう。
Wikipediaの「パラダイムシフト」の説明にもありますように、この手術は「一定の成果」を上げた為その後も支持され現代まで引き継がれて来ています。
一方、トラベルとサイモンズが筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の書籍を発表し、痛みの多くが筋筋膜のトラブルであると発表したのが1983年で、これを「腰痛の天動説」としますと、今年は2011年ですから、すでに28年が経過したことになります。
腰痛が椎間板ヘルニアなどの構造的な異常が原因ではなく、筋筋膜のトラブルであるという説が社会的に認められるようになる「腰痛のパラダイムシフト」はいつ起きるのでしょうか?
天動説が地動説に変わらなくても、我々庶民の生活にはあまり影響がありませんが、「痛みのパラダイムシフト」は一日でも早く行われなければ、痛みで苦しみ、生活の質が低下して困っている方は増え続けます。
私たちは新パラダイムである「筋痛説」での解決事例を世に多く提示し、これを拠り所とする医師や治療家の数を増やさなければなりません。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)
整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。