もう7~8年前にもなると思いますが、トリガーポイント研究所の会員であるSさんから「患者の孤独」という本を勧められました。生命科学者の柳澤桂子さんが原因が分からない難病に罹り、その闘病体験を書にされたもので、副題には「心の通う医師を求めて」と書かれています。
Sさんご自身が原因が分からない症状に長年悩んで来られて、柳澤さんと同様の経験をされて来られたことから、この本を勧められたのでしょう。
先日、やはり原因が分からない痛みや痙攣で困っておられる方が受診されましたので、この本を思い出し読み返しました。
現代医療は縦割りに細分化されていますので、専門領域の事については深く通じていますが、その病態を身体全体で見る視点に欠けていると思われることに度々出会います。
その為、各種検査を行っても異常が見つからず、しかし症状は強烈で医学的に説明がつかないような病態の時に、医療関係者の方から心ない対応をされたり、真摯に向き合ってくれない経験をされている方が多くおられます。
人の身体は複雑系で、様々な機能が精妙なバランスの上に成り立っていて、そのバランスが崩れ始めた時に、様々な病態を惹き起こし、それが連鎖して行きますので、因果関係が分からなくなります。
そのような時に、身体を部分的に見るのでは無く、栄養、運動、循環、体質など幅広い視点で、身体全体として捉えて行く事が解決に糸口になると思います。
それでも、改善が見られない場合もあり、また「3歩進んで2歩下がり」という感じて、遅々として改善が進まないような事もありますので、患者さんの心が折れそうになります。
この本を再読しまして、そのような患者さんを温かく支え、寄り添い、勇気づけ、「心の通う治療者」でありたいと改めて思いました。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)
整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。