本棚の整理をしていましたら、20年以上前に読んだ本が出て来ました。
パラパラとめくっていましたら、ふと目に付いた文章がありましたので、ご紹介します。
「分析」することは、知的な暴力行為だ。
分析とは心の動きをバラバラにし、宇宙を切り刻むことなのだ。ものごとを切り刻んでいくと全体が見えなくなる。
自分自身を、自分自身の人間関係を、そして人生でのさまざまな行動を切り刻み、その断片のひとつひとつに隠された意味を見つけようとする。それにひきかえ「統合」は「分析」の逆だ。
知的に、あらゆるものに協調していくことなのだ。
統合とはすべてを一緒にすること、つまり全体の中で個がどのように適合するかを見ることなのだ。西洋文化においては、自分たちを人格、感情、思考、肉体などのさまざまな部分に分解することが、すっかり習い性になった。
このような分析的な考え方をすると、人をかえりみないで自己中心的になり、全体像が把握できなくなる。
そうしないためには、私たちが協調的な考え方を選び、すべてのものを関連させるようにする必要がある。
そうすれば、私たちは人の役に立ちたいという視野を持つ事ができるのだ。
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この本は「生き方」について書かれたものですが、「分析と統合」というテーマは、施術の場にも繋がることだと思いました。
ここにも書かれていますように、西洋文化は分析の文化です。
そのため、西洋で発達した近代医学も分析の上に成り立っています。
消化器が消化器だけで成り立っていないのに、「胃腸科」ですとか、心臓は心臓だけで成り立ってないのに「心臓外科」などです。
分析することによって得られる情報があり、それが有用であるという側面はもちろんありますが、患者さんが困っている症状を改善に導くには、「統合」の視点が大切だと考えます。
「ものごとを切り刻んでいくと全体が見えなくなる」
患者さんが訴えている「今の痛み」にとらわれますと、幼少期に生じたトラブルの影響を見落とします。
患者さんが訴えている「痛む場所」にとらわれますと、その部位を施術したくなり、「なぜそこが痛むようになったのか?」という視点を忘れます。
「全体の中で個がどのように適合するかを見る」という視点で、常に患者さんの訴えを捉えて行きたいものです。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)
整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。