背部痛は気になる痛みが続くため、鬱陶しくて気持ちも落ち込ませます。
施術理論が理解できていませんと、施術効果が上がりにくい症状でもあります。
そこで、背部痛の整理と考察をしてみました。
1)脊椎の動きを回復させる。
神経と筋は密接な関係にあり、互いに影響を及ぼし合います。
神経の働きが低下すると、その支配下にある「皮膚」「筋」「内臓」に影響が出ます。
そこでどんな症状であっても、まずは脊柱周辺の筋・靱帯・骨膜などをチェックして硬さや動きの悪さを感じたらそれを回復させる事が第一選択肢です。
2)横隔膜のチェックと施術
横隔膜は全身の内圧をコントロールしている器官で、痛みやコリを改善する為には必ずチェックしておく重要部位です。
3)上背部・肩甲骨内側に痛みを生じさせるトリガーポイント
上背部及び肩甲骨内側に痛みを生じさせる代表的な筋とトリガーポイントを紹介します。
①斜角筋
・斜角筋は上半身のさまざまな症状に関わっているとされる筋で、特に「前斜角筋」は腕と肩の疼痛を起こし、肩の痛みから不眠になる事もある。
・肩から肩甲骨上角~内側にかけて痛みを放散する。
②僧帽筋
・僧帽筋のTPの中で上背部に痛みを感じさせるのは「TP5」で、痛みは脊柱の際で感じるがTPは肩甲骨内側に存在する。
・肩甲骨内側に痛みを感じさせるのは「TP4」で、焼けるような痛みを放散する。TPは肩甲骨上の僧帽筋の縁に存在する。
③前鋸筋
・肩甲骨下端内側に痛みを放散。
・胸痛を起こす。TP活性化の折は安静時も現れる。
・患側を下にして眠れなくなることがある。
・側壁にチクチクするような痛みを作る。
・息が切れる。
・深く息を吸ったり,吐いたりできない。
・普通の長さの文章を言えない事もある。
・TPが活性化した患者は肩を丸めた姿勢をとる。
④肩甲挙筋
・肩甲帯の中でも最もTP障害を起こしやすい筋。
・痛みを伴う首の凝りを訴える。
・首の可動域が制限される。
・後を見るときに身体ごと振り返る。
・TPが活性化した時は安静時でも激しい痛み。
⑤広背筋
・うっとうしく感じる背部痛を起こす。
・肩胛骨下角および中部胸背部に痛みを放散。
・上腕を前方および上方に挙上すると痛みを誘発。
・手で腸骨陵を強く押しつけると痛みを誘発。
・広背筋内のTPは大円筋にもTPを発生させる。
⑥大小菱形筋
・肩胛骨内縁に痛みが集中。
・首の動きや制限に影響を与える事はない。
・表面的で静止時の痛みとして訴えられる。
・肩胛帯を動かしている時の礫音は菱形筋のTPの事がある。
・作用:上腕の外転作用・肩胛骨内転作用
・猫背になる傾向がある。
・胸側のTPが影響している。
⑦上後鋸筋
・肩胛骨と肩の痛みを引き起こす事が多い。
・肩痛の98%にこの筋の関与が見られる。
・痛みは深部で感じられ,三角筋後縁と上腕三頭筋長頭の一帯に集中的に生じる。
・さらに内側上顆を巻き込んで上腕三頭筋全域を覆うように現れる事もしばしばある。
・安静時でも痛むことがあり,深呼吸などで急激に悪化することがある。
4)中背部に痛みを感じさせる代表的な筋とトリガーポイント
①下後鋸筋
・下背部肋骨部に生じる不快な痛み。
・ひどい痛みではないがいらいらするような痛み。
②腹直筋
・上部腹直筋⇒肩胛骨の下部の痛み
※この位置の痛みは広背筋が起こす事が多い。
・剣状突起のTP⇒腹部膨満,胸焼け,吐き気。
・TPが左にある時に吐き気が強い。
・寝違え、上を向くと首が痛むような時にも大きく影響する。
・心臓前部の胸部痛(見過ごされやすい)。
③胸腸肋筋
【T6の胸腸肋筋】 【T11の胸腸肋筋】
・特にT11の肋骨角上のTPは中背部に重い、不快な痛みを作る。
・この痛みは脊柱の運動や動きを制限する。
・立位で身体を屈曲できない事がある。
・側臥位で膝を胸に引きつけさせると傍脊柱筋群が触診しやすい。
・深在性の傍脊柱筋群に活性TPが存在すると,患者は身をかばうような動きとなり,体幹の 側屈,回旋,過伸展が制約を受ける。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)
整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。