5)なぜ手術で治る人がいるのでしょう。
構造的な異常と痛みの間にはっきりとした関係がみられないのに
手術によって構造的な異常を修復すると
痛みが解放される方がいるのはどうしてなのでしょう。
①プラシーボ効果(偽薬効果)
プラシーボ効果とは、何の薬理効果がないはずのものでも
心理的な要因などが関わって効いてしまうという現象です。
しかし、多くの研究で侮れないほどの効果を現す事がわかっています。
下記表は見せかけの手術や治療でも
すばらしい改善を見せた事を示すデータです。
例えば、一番上の研究は、腰下肢痛の症状で、
試験切開をしただけに過ぎないのに、
37%~43%の人に効果があったというものです。
従って私たちは「手術を受けた」という心理的な効果だけでも
痛みが軽減したり消失したりすることがあると言うことです。
②脳内リセット効果
「脳内リセット効果」というのは、日本医科大学のリウマチ専門医
吉野教授が提唱されているものです。
教授はリウマチ治療の研究の一環として
大笑いや大泣きで脳がリセットされて
ストレスホルモンが低減することを確認されています。
また、それと同様の効果があるものとして
手術などに於ける全身麻酔を挙げられています。
この事は全身麻酔を受けることで、
脳内で悪循環していた痛みがリセットされて
痛みが軽減もしくは消失することを示しています。
③構造の異常が修復された事による効果
徒手治療のオステオパシーの治療原則は次の通りです。
1,人体は一つのユニットである。
2,人体の構造と機能は相互に関連する。
3,人体は自己管理、自然治癒力を持っている。
身体は一つのユニットを作り上げていて
構造と機能が相互に関連するとしているということは
機能の障害は構造の変化として現れますし
構造の変化は機能障害として現れる事があると言うことです。
つまり、椎間板ヘルニアなどの構造の異常は
直接的な痛みの原因ではないとしても
機能的な障害をもたらしている可能性はあります。
そして手術によって構造の異常が正されたとき
機能障害が回復し、機能障害によって阻害されていた治癒力が改善し
痛みが軽減もしくは消失している可能性もあると考えます。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)
整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。