私たちが医療機関を訪れるきっかけは
「痛み」が最も多いと言われています。
しかし、その痛み医療が日本ではかなり立ち遅れています。
愛知医科大学・痛み学講座のホームページには
「日本の痛み医療は20年遅れています」
と書いてありますが、実際その通りだと思います。
実際「痛み」というのはとても複雑で
未だに解明されていない事が多くあります。
痛み医療を難しくしている原因の一つに「関連痛」があります。
「神経痛」はよく耳にしますが、「関連痛」という言葉を知っている方は少ないでしょう。
ある場所を刺激すると、痛みが遠隔部に放散する現象の事で、
神経の走行に沿って発現しないので、
「神経痛」とは言わず「関連痛」と呼ばれています。
今回はこの「関連痛」を取り上げました。
1,痛む場所に痛む原因がある場合。
2,他の部位の痛みを感じている場合。
3,痛む場所にも原因があり、他の部位の痛みも感じている場合。
「2,他の部位の痛みを感じている場合。」
この事は痛み治療ではとても大切なことですが
見落とされている事が多いのです。
この痛みは通常の神経の走行に沿って起きないので
「神経痛」とは言わず「関連痛」と呼ばれています。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』には
次のように書かれています。
「関連痛(かんれんつう、Referred Pain)とは、
ある部位の痛みを異なる部位の痛みと脳が勘違いをすることによって発生する。
人体に存在する神経は、枝分かれをして各所に伝わっているため、
脳は同じ神経束を源とする場合や、隣接する神経束の信号伝達を
痛みが発生している場所と勘違いをする場合がある。
例えば、かき氷を食べ、咽頭神経が刺激される事により発生した信号を、
後頭部またはこめかみの痛みと誤認知すること。
これはアイスクリーム頭痛(icecream headache)とも呼ばれる。」
ここに書いてあります、「アイスクリーム頭痛」であれば
多くの方が経験しているので「関連痛」という現象を理解やすいでしょう。
しかし実はこの「関連痛」はアイスクリームを食べた時だけでなく
いろんな所で起きています。
例えば、肩こりの筋肉と言われる肩の「僧帽筋」にしこりができますと偏頭痛を起こしますし、
大腿部の「大腿直筋」にしこりができますと、膝関節で痛みを感じます。
多くの方は、このように「偏頭痛」が起きたときは、頭を押さえたり冷やしたりしますし、
膝が痛むと膝をマッサージしたり湿布を貼ったりするでしょう。
しかし実際は頭や膝に原因があるわけではありませんので
さっぱり効かないという事になります。
そしてこの「関連痛」の事が、現在の医療機関では見落とされていますので、
何ヶ月も、何年も通院しても腰痛や膝の痛みが改善されないという問題が生じています。
筋のトラブルに目を向け、「関連痛」という視点で痛みを診ると
早期に改善するはずの痛みを、現代医療は慢性化させ
痛みで苦しむ方の生活の質を低下させてしまっています。
コンテンツ作成・責任者:佐藤恒士(さとうつねし)
整体治療歴約25年。自力整体法、長谷川淳史先生のTMSメソッド、石川県小松市の整形外科医、加茂淳先生からトリガーポイント療法等を学び、現在は、トリガーポイント理論を多くの方に広める為にトリガーポイント研究所を設立し筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の啓蒙活動と後進の育成に力を注いでいます。詳細はこちらを参照ください。