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トリガーポイント研究所

「六、凍傷」

内務班における初年兵の仕事の一つは、飯上げと食器洗いである。五、六人ぐらいが一組で食事当番が編制される。当番は食事のたびに、週番上等兵に引率され炊事に行って、主食や汁など副食の入った大きな樽を受け取り中隊に運ぶ。さらに各班に分配されたものを持ち帰って備え付けの食器につぎわける。
食事が終わると全員の食器を兵舎の裏庭に設けられた洗い場で洗い、炊事の脇にある熱湯の桶で消毒する。しかし、洗剤などを使うわけでは無いから、ニュームの食器についた脂など、なかなか落ちるものではない。炊事場の周辺に落ちている藁しべを拾ってきて、冷たい水の中でゴシゴシこすったりした。
手も凍るような水の中で食器を洗い、熱い消毒用の湯桶に浸し、濡れた手を拭うひまもなく、冷たい風に吹かれながら、食器の入った篭を提げて内務班に帰る。そんなことを繰り返しているうちに、両手に指はたちまち凍傷になっていまった。
九州の部隊はどこでも同じであったのだろうが、われわれの部隊でも暖房の設備はなく、内務班で火の気と言えば煙草の火だけ。手先を温める手段は何もない。そんな状態であったから、ひとたび凍傷になると、ひどくなるばかりで治るものではない。
私は両手の指が凍傷になり、初めは赤くふくれて痒いぐらいであったが、やがて紫色に変わり、とうとう穴があいて膿が出るようになってしまった。
凍傷の甚だしい兵隊には、軍手を使用することが許されたが、演習から帰って手袋を脱ごうとすると、化膿した部分がくっついてしまって、すぐには脱げない有様であった。

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