トリガーポイント研究所
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第十一話「餅つき」

日本人の米離れが言われ出して相当の年月が経つが、米離れは、また同時に餅離れでもあるようだ。最近では元旦の朝ぐらいはスーパーで買ってきたパック入りの餅で雑煮を食べるが、夜ともなれば、もうご飯がいいとか、雑煮はもたれるからサンドイッチにしようなどという有様である。
 

師走の風物詩であったあの餅つきの音を聞かなくなって久しいが、子どもの頃の正月の思い出には餅がくっついていて離れない。
私の父は、その頃西南女学院の教師をしており、下到津の借家や構内の教員住宅に住んでいたので、自分の家に臼や杵があったわけではないが、当時は十二月ともなると餅つき屋が餅つきの注文を取りにきていた。何日の何時から何升つくという予約ができる。すると餅つきの前日には母はもち米を見ずに漬したり、小豆を炊いてあん餅用のあんこを作る。小豆が煮え立ってくる匂いが家の中に漂い始めると、なんとなく落ち着かない。
日頃男の子は台所に入るものではないとやかましく言われていても、つい覗きたくなる。やがて砂糖が入って甘いあんこが出来上がると、母の目を盗んで嘗めるのが、無上の楽しみであった。
餅つきの当日となると庭先に餅つき屋が臼や竃(かまど)などを持ち込んでくる。母や姉は縁側にむろぶたを用意して餅のつき上がるのを待つ。竃にのせた蒸篭の上から白い湯気が盛んに上がり出すと、餅つきの豊かな気分がそこら一面に広がってくる。独楽を手に持った男の子、羽子板を抱えた女の子など近所の子ども達がのぞきにくる。賃つき屋の小父さん達の威勢のいいかけ声で、ひと臼つき上がると母と姉がそれを受け取って、広い板の上で白い餅とり粉をつけながら丸めて行く。初めに床の間に飾る重ね餅を作る。その後は小餅を作る。関東ではすべて四角いのし餅のようだが、私が育った九州では丸餅であった。
 

あん餅のときは、予め小さな玉にしてあるあんこを丸餅の中に包み込む。次々に丸められた餅をむろぶたの上に並べるのが私の仕事である。
その頃は五人家族のわが家でも一斗ぐらいの餅をついていたので、餅つきは半日がかりの仕事であったように記憶している。
出来上がった餅をすべてむろぶたの上に並べ終わると、廊下の端に重ね上げる。その時風通しがよいように、むろぶたを少しずつずらせて重ねる。後片付けまで全部終わると、早速まだ柔らかいあん餅を頬張る楽しさ。白く柔らかな餅の中から出てくるあんこは本当に甘くおいしいものであった。
正月になると餅は少し固くなっているので餅焼き網の上で焼く。火鉢の炭火の上で焼くのだが、なかなか柔らかくならない。待ちきれずに火鉢の中に頭を突っ込むようにして火を吹く。要領が悪いと灰神楽がたったりすることもある。
やがて炭火が赤くおこって餅が少しずつふくれてくる。そのうちに表皮の薄いところを破って白い風船のようなお餅の瘤がプクッと突きだしてくる。どうかすると、さらにそこから熱くたぎったあんこが飛び出してくることもある。双六遊びやカルタ取りの合間に、この熱い餅をフーフー吹きながら食べるのもまた格別のおいしさであった。
その頃の正月は松のとれる七日までぐらいは、ほとんど三度三度、餅を食べていたように思う。雑煮に、焼き餅、安倍川餅、今から考えると、よくまあ飽きずに餅を食べたものだと自分自身不思議な気がするくらいである。今年の正月元旦マクドナルド銀座店が一日一千五百万円以上の売上を達成したという記事が新聞に出ていたが、まことに世の移り変わりをしみじみ感じさせられた事であった。(昭和五十四年)

 ⇒第十二話「四方拝」

2011年5月17日

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