トリガーポイント研究所
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第三話「ひまし油」

昔の子どもはどうしてあんなにもお腹をこわし、それが原因で疫痢や赤痢、自家中毒などになり、バタバタと死んでいったのだろうか。当時の幼児の死亡率は、すさまじいもので、今の若い人には想像も出来ない事だろう。考えてみると、当時の社会は、一般に衛生思想が欠如していたこと、衛生環境が悪かった事、抗生物質が無かったこと、健康保険のようなありがたい制度が無かったなど、いくつかの条件を数える事ができる。
 
口に直接入れる煮豆、飴玉、薩摩揚げなど、その頃の店では、新聞や雑誌のフルが身に包んで手渡しするのが一般的であったし、食料品を売る店の中にも蠅が飛び回っているのが普通であった。天井から吊り下げた蠅取りテープや、蠅叩きなど家庭の常備品だったが無数の蠅の跳梁には全く無力であった。小学校の頃は、「蠅取りデー」というのがあって、蠅の撲滅を奨励したものである。その日はそれぞれわが家で退治した蠅の死骸をマッチの空箱に入れて登校し、その数を競ったりした。田圃沿いの道路脇にはいたるところに肥溜めがあり、路地の溝にはどぶ鼠がウロチョロしていた衛生環境では伝染病が発生しない方が不思議というものであろう。
わが家では母が衛生には特別やかましく、生ものはなかなか食べさせてくれなかった。とくにバナナ、柿、無花果などは腹をこわすと言って相当大きくなるまで食べることを許されなかった。また西瓜は線維が口に入らぬようガーゼで包んで汁だけを吸うという有様であった。ガーゼ越しの西瓜のまずいこと。そのためとうとう西瓜嫌いになってしまった。

母がそれほど気を遣っても、もともと弱い体質のためしょっちゅう腹をこわしたものである。腹をこわすと必ず飲まされるのがあの苦いひまし油である。それに浣腸。いずれも腹の中を一度掃除してしまい、あらためて重湯から徐々に栄養をとるという治療法である。抗生物質の無かった当時は専らこの飢餓療法であった。鼻をつまんで飲んでも臭うひまし油の独特の臭いろ、口の中にひろがる苦さは、腹をこわした時には直ちに覚悟しなければならない難行苦行であった。後年長女が二歳位だったか下痢をした折、嫌がるのを押さえつけて無理矢理ひまし油を飲ませたが、昔の苦さを思い出して自分自身が飲むよりも辛い思いをしたものであった。
日常なにかと食べ物について制限を受けていたので、いつもなにか食べたいという思いにかられていた。早く大人になって旨いものを腹一杯食べたいと思ったことは度々であった。この思いは私だけでなく、兄も同じ思いをしたそうである。当時は一般に食生活が貧しかったので子どもは誰でも何時もなにか食べたい欲望にかられていたものと思われる。子どもを育てるようになって、親が勧めなければ食事が進まない子どもの世代に隔世の感を深くしたものである。
一年に何回も腹をこわしていた私も成長と共に体質が変わるのか、高等学校に入学し寮生活をするようになってからは比較的丈夫になった。寮の先輩から酒をすすめられ、嗜むようになった時期でもあったので、アルコール消毒が効いたなどと勝手な解釈をしたりしたが、今に思えばあまりにも神経質な母の過保護を離れたことが良かったのかも知れない。(昭和五十三年)

 ⇒第四話「肺尖カタルと気胸療法」

2011年5月2日

所長の佐藤です。

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