トリガーポイント研究所
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六、案内(アンナイ)

先頃飯塚病院の整形外科で受診した。かつての勤務先麻生産業の経営する病院で、我が家は病院の裏門のすぐ傍の社宅であったから、子供が発熱したときはすぐ駆け込むなど家内一同しばしば利用し、まるで身内の感覚で居たものだが、その頃から約半世紀、飯塚病院は最先端の設備と優秀な医療スタッフを揃えた近代的病院に発展し、規模も見違えるほど大きくなって居る。

久しぶりに訪れた私は、外来の受付や会計の窓口・薬局など、どこにあるのか、案内係にその都度尋ねる有様であった。

病院に限らず、最近は時代の進歩が早く、市役所や交通機関の窓口など昔とはすっかり変わり、大正生まれの老骨は、人様に案内して頂かねば何も出来ない。

それほど馴染み深い「案内」ではあるが、案内にもいろいろあるようだ。まず広辞苑を覗いてみる。

広辞苑では、
①文案の内容。特に官庁の先例・内規を書き記した文書。
②事情。内情。
③取り次ぎを乞うこと。問い合わせること。
④その場所を知らない人を導いて連れて歩くこと。また、その人。
⑤事情を説明し知らせること。また、その知らせ。通知。
⑥事情を知っていること。
と記されているが、私なりの補足をすれば、③は、時代劇で見る大きな屋敷の門前で「頼もう」と大声をかけている姿が連想されるが、今では概ね玄関のベルを押す仕掛けになって居る。

④は、いわゆる道案内だが、水先案内などもある。
⑤は、入学通知・会社案内・観光案内などがある。
⑥は、「すでにご案内のとおり・・」と使われる。

次に漢字源の「案」の項をみると、机・考える・やすんずるなどの意味が上げられている。なお「案内」の説明をみると、

①事件・文書の中。
②下書きの文章。
③官庁などの下書き文章。とあり、②と③は日本語特有の意味の用法であるという。

広辞苑の①は漢字源の②・③と通じるが、その他は全く漢字源では無視されている。どうしてだろう。

字統の「案」を見ることにする。字統では、案(アン=机・考える)は、木十安(アン)の形声文字。もと食盤用のものをいい、足のあるものを案、無いものを槃(ハン)という。のち机案(キアン=つくえ)をいい、案上で取り扱う事案(ジアン=問題となっている事柄)をいい、その事案を調査し考案(工夫をめぐらす)することをいう。案内とは、そのような事案の事例・先例に通ずる意。我国では草稿・草案(下書き)を案というと説明している。

これらを見ると案の原義は机で、机の上に置かれている資料について考案すること、さらに物事に通じる、知識がある意味となってきたのではなかろうか。

とすれば、わが国で使われている案内とは、内部の事情を知っていることであり、「案内する」とは、その知識を活用することと解すべきではなかろうか。

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2017年7月16日

所長の佐藤です。

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