私の祖母佐藤カクは、松前藩士尾見雄三の娘で、尾見家から佐藤家に嫁いで来ている。そして、私たちの父善次郎は、少年期、お祖母ちゃんの弟尾見五郎に養育されている。

そんな緑で、かつて我が家の写真集の中に、明治維新当時写したと思われる、裃姿の曽祖父尾見雄三の写裏があった。惜しいことに、今では散逸してしまったが、それは脇差を腰に、両手を袴に差し入れて端座した、まことに凛々しく威厳のある壮年の侍の姿であった。

その写真から、子供心にも尾見雄三という名前は強く印象づけられてはいたが、その人となりについて、たずねることもなく今日に至っている。

平成十一年、『ある北国の系譜』で、この曽祖父に当る尾見雄三のことについて触れる機会があったが、当時は勉強不足で、その人生について十分理解していなかった。昨年「ご先祖様のことども」を記して、あらためてその事跡を辿り、ぜひ書き残しておかなければと思い、この筆を執ることとした。

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