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六月十五日 「ベーシックインカム」

今日の毎日新聞には論説委員の中村 秀明氏が「スイスからの問い」と題する次のような一文を載せている。

社会は混乱するか、それとも安定するか?
人々は労働意欲をなくして怠けるか、安心してやりたい仕事をするのか?
深い問題を提起した国民投票が先日、スイスであった。すべての国民が困らないだけの一定額を受け取る「ベーシックインカム(最低限所得保障)」の是非を問うた。

実現すれば、収入に関係なく大人は月約二七万円、子どもは約七万円が政府から支給された。代わりに年金や失業手当、生活保護などはやめ、社会保障を簡素にする。結果は、財源難や経済の活力低下を心配した反対が七割を超え、否決された。

ベーシックインカムの考えは一九世紀に始まるが、格差や失業、貧困が改めて問題化し、注目を集めている。スイスの国民投票は、市民団体が十万人の署名を集めて実現させた。狙いは「生き方、働き方への問いかけ」だ。現地で調査した山森亮・同志社大教授(社会政策)に団体幹部はこう語ったという。

「現在の経済の仕組みでは、多くの人は食べるために働かなくてはならない、仕事とは本来、共同体のため、他の人のため、社会のためであるはずなのに、自分と家族が何とか生き延びるためになってしまった」

「導入すれば、人は目先の生活の必要から少し離れて、自分が社会のために何ができるのかを見つめ、そのために生きていくことができる」 労せずして金を手にすれば働かなくなり、社会への関心も薄れる。そう考える人には「空疎な理想論」かもしれない。

だが興味深い調査結果もある。マイナビが毎年公表する大学生の就職観だ。この数年は「楽しく働きたい」と「個人の生活と仕事を両立させたい」に次ぎ、「人のためになることをしたい」が三位だ。今年の結果は、これに「社会に貢献したい」を足すと、約二五%になった。

現状でも大学生の四人に一人が「人のため」「社会のため」の仕事を望んでいる。彼らに最低限の所得が用意されれば、もっと多くが世の中に深くかかわる仕事や生き方に踏み出すのではないか。

社会保障制度が行き詰まりを見せ、こうした若者が社会の主役になっていく日本こそ、ベーシックインカムの可能性を論じる意味がある、と思えてくる。

山森教授は「スイスの問いかけは、長時間労働や生活を犠牲にする考え方が根強い私たちに響くものがある。単なる賛否にとどめず、議論を広げ深める出発点になればいい」と語っている。

これを読んで感じたこと、考えさせられたことを自分なりに整理してみる。

① スイスの国民投票の発案者も山森教授も中村秀明氏も、ずいぶんお目出たい人たちであるのに驚いたというのが、第一の感想である。
人間社会の仕事は、程度の差はあるにしても、誰もしたがらない、しかし、どうしても必要な仕事、世に言う3Kのような仕事が少なからずある。そしてそれらの仕事に対する社会的評価は概ね低く、報酬も少ないのが現状である。かりにこれらの仕事が全て機械化し無人化したとしても、社会の仕事はさまざまで、それぞれの仕事量には必要量がある。従って希望する人の量とはマッチするとは考えられない。そのあたりのことは、山森教授や中村氏の眼中に無いのだろう。

ここに記されているベーシックインカムを導入すれば、その社会は忽ちあらゆる分野で不都合が生じることは、明らかではないか。そこに考えが及ばないとは、われわれ一般生活者には考えられない。

② 全ての仕事は社会と関わりがあり、社会から隔絶された仕事など何処にも無い。強いて言えば、大学の研究室で、ただ一人空想を追いかけている大学教授の作業ぐらいであろうか。それとても、研究完成の成果が社会に莫大な貢献をもたらす日が来るかもしれない。

③ 「楽しく働きたい」とか「自分の好きなことをしたい」などというが、自分に快適なことが現実の世の中にゴロゴロ転がっているものではない。自分がやりたい、最も快適なことなどの多くは、直ぐには手の届かぬところにあるものだ。それを自分の力と努力で手繰り寄せて自分のものにすることが、本当の楽しさである。

④ 「個人の生活と仕事を両立させたい」と言うが、仕事は生活の一部ではないのか。娯楽も趣味も生活の一部であるように仕事も生活の重要部分である。今従事している仕事では、娯楽も趣味も犠牲にしなければならないので、耐えられないと言うのなら、転職すればよいではないか。有り難いことに、戦後の日本は民主主義国家であり、法治国家である。仕事は刑罰ではないのだから、自分の意志に反して強制されることはない。

⑤ 「人のためになることをしたい」、「社会に貢献したい」と言うが、暴力団の恐喝のような後ろ暗い事でない限り、如何なる仕事も人のためになることであり、ひいては社会に貢献することではないか。

⑥ 現実の社会では、強制されなくても、また無報酬でも、自主的に長時間労働している人も少なくない。そういう人は、初めは特に好きな仕事というのでなくても、自分の仕事となれば、より美しく、より立派に仕上げたい、他人には出来ない見事な成果を上げたいなどと思って仕事をしているのだろう。

彼らの背中を押しているのは、使命感であり、プライドであるのだろうが、私が現役であった頃、職場で優秀な人、出来る人といわれる人には、こんな人をしばしば見かけたものだが、今も変わりないことと思われる。

⑦ こう考えてくると、「ベーシックインカム」などということは、空論以外の何ものでもないと思われるが、どうだろう。

2016年7月4日

所長の佐藤です。

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