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「自由について考える」

先日のフランスでの風刺画事件に関連して今一度「自由」とは何かを考えてみる。

本来なら関係する専門書を参考書として購読することから始めるべきところだが、今の私にはその気力もない。とりあえず手元にある広辞苑をひもといてみる。

手っ取り早く素人分かりのする説明を期待していた私は、まずはその説明に驚いた。その概要を引用する。

自由=(後漢書)
①心のままであること。思う通り。自在。古くは勝手気ままの意に用いた。
②(Freedom・Liberty)一般的には責任を持って何かをすることに障害(束縛、強制など)が無いこと。自由は一定の前提条件の上で成立しているから、無条件的な絶対の自由は人間には無い。自由は障害となる条件の除去・緩和によって拡大するから目的のために自然的・社会的条件を変革することは自由の増大である。この意味での自由は、自然・社会の法則の認識を通じて実現される。

ア)社会的自由。社会生活で個人の権利(人権)が侵されないこと。
歴史的に成立している重要なものに、市民的自由と政治的自由がある。前者は企業の自由・契約の自由・財産・身体の自由、思想・信仰の自由、言論・集会・結社の自由、行動の自由を指し、後者は参政権その他政治目的のための行動の自由を意味し、両者ともそれらに対し国家権力その他の干渉がないことを意味する。

イ)「意志の自由」。自分の行為を自由に決定できる自発性があること。哲学史上、これを肯定する非決定論と否定する決定論との間で論争がある。
カントは物質的現象世界では決定権を認めたが、行為の世においては道徳成立の根拠として意志の自由の存立を認め、この対立を調停しようとした。

ウ)倫理的自由。カントにおいては意志が感性的欲望に束縛されず理性的な道徳命令に服することで自律と同義。サルトルにおいては、人間はその存在構造から本来的に自由であり、従って常に未来の選択へと強いられており、それ故自由は重荷となる。

いささか長い引用となったが、これを見て感じたことを整理してみる。

① 日本では古来自由と言えば、何物にも束縛されていない勝手気ままを意味し、その観念が私を含め日本人の心の底に根強く残っていて、それが「表現の自由」などと言う欧米の自由を素直に受け入れ難いものにしているのではないだろうか。

② 日本古来の自由は、カントの言う感性的欲望で、これを抑制するもの、すなわち倫理、道徳は、カントの言う倫理的自由と同じものである。

③ これを基準とすれば今回の風刺画を表現の自由とするのは、カントの言う倫理的自由とは次元が異なるもので、むしろ感性的欲望に束縛された自由と言うべきではなかろうか。今日もそのあたりが「表現の自由」は無制限に守られねばならぬとする欧米の観念に、我々日本人が違和感を感じる根源があるように思われる。

④ フランス人の自由に対する思いは、庶民から過酷な搾取をしてきた中世の王家や教会の絶対的権威を革命により奪い取った歴史に基づくもので、極めて根強いものがあるようである。

日本でも封建時代は士農工商といった階級制があり、ずいぶん過酷な徴税でしばしば百姓一揆などもあったと聞いているが、フランスのような革命には至らなかったのはどうしてだろう。

⑤ 江戸時代の幕藩体制下では佐倉宗五郎のように、身を賭して領主の悪政を幕府に直訴し、反省を正すようなこともあり、また幕府当局も諸藩の苛政には、ときには藩取り潰しに処するなども行われたこともあったようである。それによってどれだけの庶民救済ができたかは分からないが、治安維持にはある程度の効果はあったのだろう。

⑥ 古代フランスの事は知らないが、日本は弥生時代から、国民の大半が農業に従事してきた。水田耕作では時に水争いもあったことであろうが、基本的には一つの水源の水を多数の農家が利用しなければならず、そのためにはお互いの話し合いが行われたことであろうし、また田植え時は、共同作業によって水の有効的活用を図るなどしてきた。

そうしたことにより、自由よりも安寧平和の精神が生活の知恵として涵養(カンヨウ=自然に水が潤すように徐々に養い育てる)され、その結果、何事にも争い事を避ける「和の民族」と言われる国民性となったことと思われる。

⑦ 幕末以降、欧米の文化が輸入され、科学、分析、抽象など多くの翻訳語が作られた。その中でFreedomの翻訳語として、日本古来の「自由」とは別儀の「自由」が生まれたことと思われる。
だから今日使用されている「自由」には新旧二義があるが、私たち老骨の身には日本古来の「気ままな自由」が染み込んでいて翻訳語の「自由」は未だに身に付いていないようである。

⑧ 余談ではあるが、わが国には、古来「郷に入っては郷に従え」という処世訓があるように、平和主義、悪く言えば大勢順応の精神が広く行き渡り、これを逸脱するものは仲間外れにされる「村八分」という慣習があった。

(平成二十七年一月十七日)

2015年6月17日

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