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「絆と大和言葉」

東日本大震災以来、それまであまり耳にしたことがなかった「絆」という言葉をしばしば耳にするようになった。たしかその年の暮れには「年の言葉」にも選ばれたと記憶している。
 
その「絆」という言葉を耳にするとき、私は何か分からぬことながら、多少の違和感を感じていた。どうしてだろう。
 
私の理解している絆(きずな)は「親子の絆」など切ろうとしても切ることの出来ない関係で、否応なく自由を束縛されるマイナスイメージの言葉である。今日世間で使われている「絆」はそれとは少し違うように思われる。
 
マスコミなどで使われている「絆」は、震災被害者の気持ちになって支援しようという、いわば連帯感、連帯意識を言うようで、プラスイメージの言葉のように感じるがどうだろう。
 
そこで、漢字の字源研究の第一人者白川静先生の「字統」を開いてみたら、次のような説明がなされている。
 
【絆(ハン=きずな・つなぐ)は、糸+半(ハン)の形声文字で、「説文解字」に、馬のきずなの意とするが、すべてのものをつなぎとめること。細い紐状のもので、まとめ絡めて自由を失わせることを羈絆(キハン)という。布に薬を塗り創口(きずぐち)に貼る物は絆創膏、脛に巻く布を脚絆(キャハン)という。】
 
また、新村出先生編集の「広辞苑」では、次のように記されている。
【きずな(絆・紲)は、①馬、犬、鷹など、動物をつなぎとめる綱。②断つにしのびない恩愛。離れがたい情実。ほだし。係累。】
 
これらを見ると私の記憶に間違いは無いようである。にも拘わらず、些か異なる連帯意識の意に絆が使われたのはどうしてだろう。
 
当時被災者と支援者、日本人同士の連帯感を強調するために、相当する大和言葉を探したが、100%対応する言葉が無く、近い言葉として「きずな」が選ばれたということではないだろうか。
 
ところで、「連帯」に対応する大和言葉はどうして無いのだろう。そこで手元にある藤堂明保先生の「漢字源」を調べてみると、次のように書かれている。
 
【連帯(レンタイ)は、①連なり続く。協力する為に一緒になる。②二人以上の人が,共同して責任を負うこと。】
 
この連帯に対応する適切な大和言葉はどうも無いようである。どうしてだろう。
 
大和言葉が十分発達しない段階で漢字文化が流入したが、連帯も大和言葉の出来る前に輸入された為、そのまま日本語として使用され、対応する大和言葉は遂に作られなかったという事だろうか。
 
それとも、明治以降の西洋文化の流入に伴い、英語の”Jointly”の翻訳語として作られたのだろうか。不勉強の私にはよく分からぬものの、そのいずれかであるに違いない。
 
尊い(とうとい)・敬(うやまう)・使(つかう)・者(もの)などという言葉は大和言葉があるのに、どうして連帯に対応する大和言葉は無いのだろう。
 
考えてみると、尊い・敬うはあっても、尊敬に一言で対応する大和言葉は無い。
使い・者はあっても使者に対応する言葉はない。
漢字が流入してきたとき、日本社会はそれらの熟語を必要とするほど成熟してなかったということではなかろうか。
 
また、仰ぐ・仕える・貢ぐ・率いる・従える・恵むなど、上下関係を思わせる言葉はあるが、共同・協力・友情など対等な関係を背景とするものに対応する言葉は見当たらない。
或いはこれらも英語の”Cooperate・Cooperation・Friendship”の翻訳語であるのかも知れない。いずれにしても、これらの背景には日本古来の縦社会があり、その影響を受けているように思われるが、如何なものであろう。
 
いずれにしても絆(きずな)など、目的とする「連帯」とは些かニュアンスを異にする言葉を無理して使う事はやめて、素直に「連帯する」「連帯意識」などと表現してはどうだろう。
 
ちょっと待てよ。初めに「絆」を使った人は誰か知らないが、その人は「絆」を正確な意味で用いたのかも知れない。
軽薄な人々の一時的同情心を復興が終わるまで被災地に繋ぎ留める事を願ってのことであったのかとも思われる。諸賢のご批判を伺いたい。
 
それはともかく、近頃矢鱈(やたら)とこの言葉が使われているが、あまり感じの良いものではない。
 
先日も近くの道路脇にある老人クラブの花壇に「絆」の花文字が見られたが、何を繋ぎ留めようとしてのことかと思案してみたが分からない。お互いの命をこの世に繋ぎ留めることを願っての事だろうか。
 
(平成二十五年八月二十四日)
 

2014年2月22日

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