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「学問のあるべき姿」

大学の入試制度の見直しが論議されているという。現在行われているのは一度限りの筆記試験、いうなれば一発勝負であるが、これでは受験生の実力は知り難いので高校在学中に複数回受験でき、最高点を志願大学に提出して合否判断の材料とする「到達度テスト」を導入してはということらしい。
 
確かにただ一回のテストでは、運不運によって実力のある優秀な学生を取り逃がすこともあるに違いない。
昔、私が旧制高校を受験したとき、前日参考書で見た問題と同類の問題に出会い、大いに得をしたが、その幸運もあってか合格することが出来た。その折、一緒に受験した友人の一人は、私よりもはるかに学力のある優等生であったが、不運にも不合格となった。
その経験から、合否ラインすれすれの実力の時は、運に左右されることも少なくないと私は思っている。
 
隠居してずいぶんなるので、今はどうなっているのか知らないが、昭和五〇年代まで東京理科大学と称する大学があった。小学校の同級生であった田中公二君がそこの教授をしているときに訪ねて行ったことがある。その東京理科大学の前身は旧制専門学校で「物理大学」と言われ、私の学生時代には、入学試験が無い変わり、進級が難しく、卒業生は大変な実力の持ち主と尊敬された学校として有名であった。
 
進級試験が難しいこともあり、進学する者が少なかった当時は無試験で志願者全員を受け入れても混乱するようなことはなかったのだろう。
全ての大学がかくあるべきものと考えるが、今日のように大学への志願者が多くては、有名大学に殺到して収拾困難なこととなり、実現不可能なことかも知れない。
 
入試制度の改革は今から論議が始まるというのだから、まだどうなることか分からないが、どのような制度にしろ、入試方法を統一するよりも、さまざまな形にして、受験生に選択の自由を与えることにしてはどうだろう。
 
社会が必要とする人材は多種多様なのだから、その人材を養成する学校も多様であるべきものと思われる。
 
昔は尋常小学校の六年間が義務教育とされ、旧制の中学校へ進学する者は、本人の志望、学力、家庭の経済事情など考慮して、高等小学校に進むか、中学校(女子は高等女学校)・工業学校・商業学校・農業学校などへ受験志願をしたことである。
 
今日の六三三制度では中学までが義務教育とされているが、学童の大半が高校へ進学しているようである。中には不登校となる者や中途退学する者も少なからず居るようではあるが。
 
新制高校でも普通科と工業、商業などの実務科コースが設けられてはいるようだが、実業高校の多くは、普通科からはみ出た生徒の受け皿となっているようにも見受けられる。
 
学校制度の抜本的見直しをするのなら、IT関連の授業を強化するなど、実業高校も今日の社会の実情に即応した教育制度をすることが望まれる。
 
なお、教育再生会議では大学生の学力低下や、高校生の学習意欲も問題とされるとのことであるが、今日の学力低下の原因の一つは、戦後行われた男女共学にあることを忘れてはならない。
 
私たちの頃は男女別学であったから、旧制中学では成績不振で進級させても授業について行けない生徒には、原級の学習をやり直しさせるために落第の措置がとられた。
私が学んだ小倉中学では、一学年二五〇名ばかりの内、十名ほど落第生が居た。しかし、女学校ではいくら成績が悪くても落第の措置はとられなかった。将来の縁談に差し支えるからという理由によるものと聞いている。
そこで、男女共学となるとともに、男子にも落第廃止が持ち込まれ、結果、学力低下を招いたものと思われる。
 
なお、学力低下の要因としては他に、画一的平等主義、週休二日と学習内容の過多があげられると思う。
 
戦後民主主義と一緒に持ち込まれた平等至上主義により、能力別授業ができなくなったのではないか。
旧制の小倉中学では一学年五クラスのうち成績下位五十名を一クラスに集めて授業し、他のクラスに追いつくように毎日放課後一時間、夏休みは前半二十日間、補習が行われていた。今日どのようになっているか分からないが、生徒の人権を無視した差別というPTAの意見で取りやめられているのではないかと思われる。
 
学力に著しく差のある生徒を一緒にして授業するのでは、教師はどちらを相手にしたら良いのか苦しむのではないか。上に合わせれば下の者はチンプンカンプンとなり、分からない授業に一時間も温和しく付き合わせるというのは、まさに拷問に等しく、これこそ人権侵害と言わねばならない。
 
また、下に合わせれば上の生徒は退屈するばかりで時間の無駄である。これでは上も下も学力はますます低下するばかりである。
 
学校教育の現場に携わりこのことに最も精通している筈の先生たちの集団である日教組が、この画一的平等主義に異論を唱えることなく、むしろ固執したように思われるがどうだろう。いまだに理解ができないところである。
 
第二の週休二日が授業時間の不足をもたらし、学力低下となるのは火を見るより明らかである。
ただ教師について言えば、今の先生方はどうも雑用が多すぎて、一人一人の生徒を見る時間も無く、いじめの徴候を見逃すありさまであるとマスコミでは伝えている。先生方の雑用がどのようなものであるか、門外漢の私には分からないが、どうも非常識な父兄と文部官僚管理統制が犯人ではないかと思われる。
文部科学省や教育委員会への報告書類の作成や、モンスターペアレンツの対応、給食費の徴収などに手をとられていては、十分な教育など期待するのが無理というものである。
先生方を雑用から解放し、本来の教育に専念できるようにすることが先ず第一にされるべきことと思われる。
 
第三の学習内容があまりに多いというのは、私たちが学んだ昭和初期と今日では日常生活が様変わりして、比べようもないが、環境問題や交通道徳など、昔は考えてもみなかった事柄まで、今の学童は心得ていなければならないなど、学習すべき事が増えている。
さらに家庭で親がすべき躾けまで学校でということでは、時間は幾らあっても足りないことになる。学校で授業すべき内容の取捨選択こそ教育再生会議で取り上げるべき課題と思うが、どうだろう。
 
もうずいぶん前の事になるが、ソニーでは社員名簿の履歴欄から学歴の記録を削除するという話を聞いたように記憶している。
学歴が学力と一致しないことが、しばしばあったからであろうが、学歴が学力と一致しないだけで無く、学力と実務の処理能力=実力とは、これまた別物である。
とすれば、学校は卒業証書を発行しないことにしたらどうだろう。本人が学校で勉強し,身に付けた学力は本人の頭脳に取り込まれているので、それを活用すべき機会に当然発揮され、第三者にも知られることだから、出身学校から卒業を証明して貰うこともなかろうではないか。と、こんな突飛なことを考えてみたが、人が他人の実務処理を見て、その能力を評価すること自体が難しいというのが現実である。
 
民間企業では、人事考課や勤務評定を行っては居るが、そもそも何を評価するのか問題である。過去の実績か、これからの期待度か。
またプロ野球選手のように成績を数値化することの容易なものばかりではない。さらに評定者の個人的偏向など考えれば、人が人を評価することの難しさは計り知れない。
 
私は麻生鉱業(株)の人事担当者として幾度となくその苦しみを経験してきたが、人を評価するということは、その評価によって自分が評価されているということを毎度思い知らされたことであった。
 
大村益次郎、橋本左内、福沢諭吉らが学んだ緒方洪庵の適塾には、入塾の試験も卒業証書もあったとは聞かない。学びたい者が学びたいときに入門し、自ら学び終えたと悟ったとき、飛び立って行ったようであるが、それこそが学問のあるべき姿なのであろう。
 
(平成二十五年六月七日)
 

2013年11月7日

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